ベータチタニウム オフィシャルブログ

2007年7月10日

一言独り言

今日はベータチタニウムで働いていて思うことをつらつらと書いて行きたいと思います。

まず、最初に一言

ベータチタニウムで販売しているのはチタンボルトではありません。

Ti-6Al-4Vチタン合金ボルトです。

なぜこのような書き方をしなければならないかというと、チタンボルトとTi-6Al-4Vチタン合金ボルトは全く違うものだからです。

こんな事を書くと

「どっちもチタンじゃないの?」と思われる方が多いと思うのですが、
クロモリ製のフレームとスチール製のフレーム(S45C等の鉄系統)では全く違いますね。

しかしクロモリと鉄(S45C等)って同じ鉄系統の合金なんですね、
(クロモリ=クロム、モリブデン配合合金)
(S45C=炭素配合合金)

けれどもクロモリで加工してある製品をわざわざ

「スチール製品です!!」って販売していませんよね。

それはスチール(鉄)よりもクロモリ優位性高いからです。

ここから話は戻って

実際にチタンボルトを自分で購入されている方でもその素材が純チタンなのかチタン合金なのか、またチタン合金の何を使っているのかご存じない事が多々あります。
さらに販売している人間や下手をすると加工側の人間ですらわかっておらずただチタンと名のつくものでボルトを造っていることがあります。

以前書いた「チタンは軽い?強い?」を読んでいただけるとご理解いただけると思うのですが高負荷の掛かる所にチタンボルト(純チタン2種及び純チタン3種)のボルトを使用するのは危険です。
純正で使用している鉄のボルトより強度が落ちる純チタンのボルトをブレーキ周りで使用するのはボルトの破断から事故を引き起こす原因となります。

なぜこんな事をわざわざ書くのかというと、いままでこの会社で働いていて実際に色々な車両を見たり販売店さんとお話したり、または個人の方のブログを拝見させていただいたりすると余りにも危険な使い方をされている方が沢山いました。

その殆どが

「純チタンでもチタンだから強いんだろう」
と思っている方が殆どです。

そしてそういう使い方をしてボルトが破断したり螺旋がかじったり焼きついたりしたりとトラブルを引き起こし「チタンのボルトは折れたり焼きついたりするからダメだよ」っという結論に達する事が多いのです。

キチンとしたTi-6Al-4Vのボルトを使用してそうなったのかが甚だ疑問に思います。

「チタンは破断するときにいきなり折れる」

こういうことをよく聞くのですが、純チタンならともかくまともなTi-6Al-4Vチタン合金のボルトがでスチール(鉄)のボルトでなんともなかったところでいきなり破断するなんて考えられません。

実際に昨年一年ヨシムラジャパンさんにレースサポートとしてブレーキのキャリパーマウントをはじめ様々な高負荷の掛かる所にJSB1000クラスで一年間使用していただきました(鈴鹿八耐、300Km含む)が一本たりともカジリ、焼付き、破断等のトラブルはありませんでした。
(当然ながら交換部品も出していません)

なぜならTi-6Al-4Vチタン合金は元々が耐振動耐衝撃に優れた特性があり普通の金属では破断してしまうようなところで使用する金属だからなのです。

Ti-6Al-4Vチタン合金というのは現在主に航空機分野で使用されています。

一体どこに使われているのかというと有名なところでは大型旅客機の翼を止めるのにTi-6Al-4Vチタン合金のボルトが一機あたり約1000本使われています。

沢山の人間を運ぶ大型旅客機の翼に使うのにいきなり破断するような金属を使うと思いますか?

しかし「Ti-6Al-4Vチタン合金でも折れたよ!!」

と仰る方もいらっしゃいます。

ここで一つ言いたいのは上記の航空機分野で使用されているTi-6Al-4Vチタン合金の99%以上は日本製のチタン合金だといわれています。

チタンの精製は非常に難しく世界でも10ヶ国程しか生産されていません。
その中でも日本製のチタンというのは世界でも非常に評価が高く世界中から引っ張りだこなのです。

ベータチタニウムでは材料を吟味してボルトを作成します。

「チタンのボルトは値段が高いのにすぐにダメになるよ」

こう言われると余りにも悲しいです。

ベータチタニウムのボルトは確かに高価かもしれません。

それは材料から拘り

鍛造材に拘り、転造に拘り、品質に拘っているからなのです。

カテゴリー:螺旋屋徒然ブログ

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