2007年5月5日
Buell XB用ディスクローターボルト開発話
ベータチタニウムが初めて公式にコラボレーションした製品は京都にあるBuell専門店Buell Leoさんとのこの製品になります。
現行のXBシリーズのBuellはフロントのブレーキディスクがホイールの外形に付くタイプ、通称ZTLブレーキを採用しています。これはBuellXBシリーズを開発においてマスの集中化とバネ下重量の低減を狙いコンパクトかつ軽快なマシンを作るというコンセプトを実現する為の機能です。
しかしながらこの他に類を見ない形状ではアフターパーツが非常に少なく、ダブルディスク化や他車種の足回り流用等大掛かりなもの以外のカスタムがほとんど無く、ブレーキパッドの交換ぐらいしかパーツが出ていませんでした。
そこでBuellのスペシャリストであるLeo日下店長から、体感できる効果的なブレーキパーツの開発依頼を受けベータチタニウムと共同開発がスタートしました。
開発にあたりやはり気になったのがこのZTLブレーキ
Buell社の提唱するマスの集中化とバネ下重量の低減を表すこの部分でのパーツ開発を考えました。
通常のディスクローターボルトよりも外形に近い位置で止まっているボルトの重量を減らす事によって回転重量物の軽量化の意味合いが大きく取れると睨み開発開始
とりあえずノーマルのボルトから図面を引き直しTi-6Al-4Vで試作モデルを作りました。
ノーマル
Ti-6Al-4V
面と角をきっちり作り直しました
ノーマル
Ti-6Al-4V
頭部は薄く軽量に
ノーマル
Ti-6Al-4V
この状態まで持ってくるのに数週間を費やしました。
なぜそんなに時間がかかったかと言うと、このローターボルトを作れる材料が無かったからなのです。
通常ベータチタニウムでボルトを作成する場合鍛造材を使用します。しかしこのZTLブレーキのローターボルトは通常よりも座面が大きく取ってあり、ベータチタニウムの通常在庫の鍛造材が使用出来なかったのです。
下の写真を御覧下さい。
左がベータチタニウムのモトパーツとしてラインナップしているKAWASAKI車用ディスクローターボルト、右がBuellXB用です
赤い線の間が座面径になるんですがBuell用は国産タイプよりも2mm以上大きくなっています。
この2mmが曲者でした。
在庫している通常の鍛造材の材料径より大きかったのです。
とりあえずサンプルで鍛造材を作ってテスト用は完成したんですが新しく鍛造の型を作成するとコストが跳ね上がってしまいます。
丸材からの総削り出しにしたほうがコストは下がるのですが強度が若干低い為に座面の厚みを増やさなければなりません。(結果重量増)
この状況を日下店長に相談したところ。
「コスト面で妥協して中途半端なものを作るよりは出来る限り最高のものがいい」
この一言で新たに鍛造材を作成し、製造まで至りました。
結果ボルト一本あたり21gから7gと約三分の一まで重量は落としつつ、鍛造剤を使用する事によってボルトとしての剛性も大幅に上げる事が可能になりました。
妥協もコストダウン考えなかったこの製品
この製品については開発に加わったベータチタニウム代表木内の言葉
「単純、ゆえに絶大」
この言葉につきます
たかだかネジを6本変えたところでと仰るあなた
是非BuellLeoでこのローターボルトを体感してみてください。
ボルトに出来る事、ボルトにしか出来ない事
きっとボルトの存在感を感じていただけるでしょう。
素材 Ti-6Al-4V鍛造使用
サイズ 5/16-18山
適合車種 Buell XBシリーズ全車(XBRR含む)
なお、関東の方はHD成田さんにも試乗車がありますのでどうぞ。
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