弊社で扱う64チタンの各種正式な表記は「JIS60種」・「TAB6400」・「ASTM
B348 Gr5」・「AMS4928」・「MIL-T-9407」・「DIN3.7165」ですが、国内では通称「64チタン」と呼ばれています。
それでは64チタンがどのような特性を持っているのか他の金属と比較してみたいと思います。
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引っ張り強度 |
比重 |
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※グラフをクリックすると拡大してごらんになれます |
純チタンと64チタン、比重は似ていますが引っ張り強度は殆ど別の金属といって良いほど違います。
しかし、日本ではいかにも「64チタン」であるかのように表記して「純チタン(TB340)」を使った製品を販売する倫理のない業者もいることから、モータースポーツの世界でも純チタンと64チタンが混同され、「チタンはカジる」「チタンは焼きつく」「すぐに折れる」という常識が出来てしまっています。これが、チタン製のボルトへの不信感に拍車をかけることになっていたのです。
そのような64チタン製品が日本のTi-6Al-4V合金の規格に該当するものなのかどうか、また製造方法・表面処理が適切に行われていたかどうか疑問に思われます。
なぜTi-6Al-4V合金を使ってボルトを作るか?
通常オートバイで軽量化や剛性アップを考える時、スイングアーム、ステム、ホイール等をアルミニウム製のものに交換する方が多いのではないのでしょうか?
確かにアルミニウム系合金は比重が最も軽く、加工性も良いために軽量化には最も適しています。
しかしアルミニウム系合金は引っ張り強度になると最も低い部類に入ります。
それなのになぜ高強度高剛性の製品として作られているのでしょうか?
それはスイングアームやステムやホイールは形状を変えられる為に素材よりも作り方(組み方)次第で剛性を高めることが出来るからです。
たとえば内部を中空にして応力集中を防いだり、その内部での組み方を変えたり、はたまた肉厚を厚くして断面強度を上げたりと、剛性を上げるためアフターパーツメーカーの努力と研究が結集されています。
この成果が今日のアフターパーツとしてのアルミニウム系合金の発展に繋がっているのです。 
しかし、ボルトという限られたサイズ、形状では素材の強度や比重が直接的に係ってきます。
いくら軽いからといっても高負荷の掛かるところに鉄より強度の劣るアルミニウムは危険です。
そこで強度、比重ともにバランスの取れているTi-6Al-4Vが活躍するのです。
通常ノーマル状態で取り付けられている鉄系統のボルトよりも強く、そして比重が軽いTi-6Al-4Vはボルトという形状に制限のある部位には最も適していると我々は考えます。
アフターパーツとして例えばバネ下に使用するという条件(高負荷に耐えることが出来て軽量化に貢献出来る)では通常出回らない特殊鋼を除けばTi-6Al-4Vに勝る物はありません。
鍛造
一般に鍛造といえば、冷間・温間・熱間の3種類があります。
鉄・ステンレス・チタンなど材料の性質上、鍛造しやすいものを冷間で加工し、冷間で困難な材質を温間で鍛造を行います。
冷間・温間鍛造は比較的細いネジを製造するときに用いられ、万本単位の量産タイプです。
コイル材を利用して切断・鍛造・転造(ネジ加工)を一連の工程を自動で流れていくのが大きな特徴です。
ステンレスでは、XM7が有名でホームセンターで売られているステンレスボルトの全てがXM7です。
チタンでは、TW270(チタン1種)・TW340(チタン2種)のネジになります。
ベータ合金のネジも存在するようですが、正確な情報は把握できていません。
さて、熱間鍛造の話になります。
比較的太い製品に用いられることが多く、SCM435・SNB7・SNB16などの鉄系統の高力ボルトSUS304・SUS630などのステンレス、HC-22ハステロイ、と多彩に渡ります。
熱間鍛造は、必ず鍛造後の切削加工が必要になるのが大きな特徴です。
なぜ熱間鍛造が必要になるのかとの話になりますが、必ずしも材料代を低く抑え低コストで製品を作る事だけを狙ったものではありません。
鉄系統の高力ボルトでは、鍛造後、焼きましなどの熱処理を行わずそのまま加工しますので、強度アップに繋がります。
ステンレス・ニッケル合金などは鍛造後、固溶化処理(焼きなまし)・酸洗いを行いますので、ボルト頭部の組織の微細化や強度アップは見受けられません。
材料ウエイトを低く抑えることに加え、加工コストの低減を狙ったものが多いように見受けられます。
また、ステンレス製品で固溶化処理(焼きなまし)を行わず加工するものの中にステンレスのフランジがあります。
これは組織を微細化し、熱による歪を少なくすことを目的としています。
SUS304やSUSXM7のボルトが熱により歪みかじって、抜けなくなる現象はよくある時例です。

弊社の鍛造製品は、強度アップを狙い、鍛造後、固溶化処理(焼きなまし)酸洗いは行いません。
M6~M10のボルトの場合、材料ウエイトを減らすことは僅かで、反対に鍛造することでコストアップしています。
また、丸棒が難削材といわれる64チタンを鍛造後、熱処理をせずにNC加工することは、困難を極めます。
製品ひとつ・ひとつの切断材料を炉から出し鍛造を打った後、前加工・NC加工・転造・六角割り・後加工の工程を経て製造されるもので、大量生産には向かず、弊社の現在の設備では数万本の量産はお断りしているのが現状です。
最近、低価格競争が厳しくなってきていますが、品質・強度を重視し妥協を許さない職人のこだわりを感じていただければ幸いです。